下田市にある下田循環器・腎臓クリニックの花房院長のブログ

下田循環器・腎臓クリニック
院長ブログ
2015年3月11日

地域医療崩壊の危機

ついさっき帰宅しました。今日は夜の事件について書き留めたいと思います。                                                  小生が外来診療しているA氏の夫人より午後7時過ぎに往診要請の連絡がありました。激しい腹痛を訴えており、トイレで動けないでいるとのことでした。すぐのすぐには伺えないので、急ぐようであれば救急車を要請してくださいと指示しましたが、やはり往診を希望したいということで40分後にご自宅に到着しました。トイレで蹲るA氏、緊急性も視野に入れて、ベッドへなんとか移動して診察しました。腹部膨満あり、圧痛も強い。筋性防御こそありませんでしたが、排ガス、排便も見られていないことより腸閉塞と判断し、病院での診療が必要と考え伊豆今井浜病院に電話をしました。本日は外科の医師が当直とのこと。腸閉塞が疑われるため外科で問題ないと若干安堵しましたが、見事に期待は打ち砕かれました。診察拒否の返事。内科に連絡してくれとのこと。この日の担当医師も某医院からの依頼なら絶対断らないんですよ。普通差別するか!!??命がかかっているのに!!!!憤るの気持ちを抑えて、内科当番の下田メディカルセンターに連絡しました。こちらにも事情を説明し、受け入れのお願いをしましたが、やはり診療拒否。なんでも担当医師は脳神経が専門のため診療ができないとのこと。内科の2次救急で神経疾患しか診ないなんてありえませんよね。そんな2次救急はあるのかと言いたい。2次救急において腹部疾患を診療することは最も頻度が高いはずです。敢えて書く!!!!こんな地域医療はありえないと????そして賀茂地区の地域医療は崩壊していると。結局わがのぞみ記念下田循環器腎臓クリニックに入院していただきました。しかしながら、状態が漸次悪化していったため、結局は順天堂大学医学部附属静岡病院に転院と相成りました。                                                                          地域医療も都市部と同様、3次救急を頂点とした2次・1次救急とピラミッド型に役割分担されています。賀茂地区では3次救急は順天堂大学医学部附属静岡病院で、多発外傷や急性大動脈解離、くも膜下出血など危機的状態の患者さんの受け入れに主眼が置かれます。賀茂地区における2次救急は伊豆今井浜病院、下田メディカルセンターおよび西伊豆病院で、緊急手術が必要ではない、または危機的状態ではない状態で、入院が必要な患者さんを主に受け入れます。1次では入院は必要なく、風邪や外傷などの程度の軽い患者さんを受け入れます。残念ながら賀茂地区ではこれらの患者さんの振り分けと医療分担が玉石混交となっているため、すべての部分が疲弊しているのです。また、医療専門職の医師のみならず看護師や臨床工学技士、放射線技師も少なすぎます。医療をより一層充実させなければ消滅都市のリスクはさらに高くなるでしょう。人口が少ない地域の人間は死ねと言っているようなものです。賀茂地区の議員の方々や首長も、自分やその家族が瀕死の状態となって救急要請した際、同じ地区の医療施設で診療を受けることができず、最悪死亡した場合どう思うのでしょうか??小生は下田に来て10年が経過しましたが、常にこの問題に直面してきました。残念ながら、せっかく下田メディカルセンターができたにもかかわらず、お世辞にも完全に機能しているとは思えませんし、賀茂地区の医療が改善したとは、とても思えません。結局は、地域医療振興会を分裂させた元凶の議員等は、なんの責任の取らずに、今まで、かかる状況を放置してきたわけで、その罪は極めて大きいものと考えます。共立湊病院がそのまま下田に移転していれば、人的資源が二つに分裂しなくて済んだのですから。河津に新たな病院を作る必要もなかったわけですから。また、下田メディカルでは内科医師が退職するようで、医師が定着しないことも何らかの問題があるものと考え、対策を講じるべきでしょう。賀茂地区の住民の方たちは拱手傍観しないで、この問題を真剣に考えてゆかないと、結局は自分やその家族にまで害悪が降りかかってしまいます。皆さんで考えていこうではありあませんか。住民よ!!立ち上がれ!!!!                                           今、まさにキーボードを叩いている小生の心境であります。

PS:古賀さん、高橋主任、土屋さん遅くまでお疲れ様でした。