小生は14年間心臓血管外科に従事しておりました。15年目になる2005年1月心臓血管外科を離れ、伊豆半島最南端の下田市にある横山クリニックの門を叩きました。本当は前任の病院で定年まで勤め上げ、定年後に伊豆か信州、山梨で第二の人生を送るつもりでおりました。さまざまな理由により20年も前倒しになってしまいました。心臓血管外科医を辞するに当たっては紆余曲折さまざまな波乱がありましたが、これについては今後語ってゆきたいと考えております。2004年秋頃より、前述の3地域に的を絞って、新たな就職先を考えるようになっていました。信州や山梨ではなかなか、条件に合う募集がなく、伊豆半島では2箇所に目星をつけておりました。その後、たまたま目にした1年前の2003年10月号のジャミックジャーナルに(太田西ノ内病院の医局に置いてあった)下田のクリニックで医師募集の広告が掲載されておりました。下田は学生の頃から100回以上は遊びに来ていた場所なので、伊豆半島でも特に思い入れがあった地です。一目でこれだとインスピレーションを感じました。クリニックへ見学に行くと、あまりにボロい(失礼!)、マンションを突貫工事でリフォームしたような診療所で、目がテンになってしまいました。簡単な面接をお願いすると、大きな猫(名は武蔵という)を抱いた横山理事長が笑顔で迎えてくれました。とても穏やかで、猫が大好きだという理事長にすっかり魅了され、「待ってますよ。」とお声をかけてくださいました。一方で、目星をつけていた伊豆の2箇所のうちの1施設は今はなき東伊豆町の某病院で、ここの院長は、小生が1回電話をかけて以降、お前は心臓外科をやれと、ほとんど命令に近い形でしつこく勧誘してきており、横山理事長とは応対からして雲泥の差でした。しかも勤務条件はあまりにも劣悪で、給与も滅茶苦茶安いということもあって(院長は静岡県の長者番付10位以内の常連)、丁重にお断りしました。しかも、この病院は数年後にはある事件で潰れてしまったのですから、つくづく就職しなくてよかったなーと、小生の嗅覚にホッとする今日この頃です。伊豆への就職の顛末はこれでおしまいにします。それから早10年が経過しました。まだまだ中途ですが、少しは形になってきたかな。頂上はまだ先の先、雲の上で、全く見えませんが、着実に一歩一歩高みに上ってゆきたいと考えておます。