いよいよこの月曜日からノーベル賞ウィークが始まりました。医学・生理学賞を皮切りに、物理学賞・化学賞と続きます。わが国では2000年の物理学賞を受賞した白川英樹先生以降、14名の科学系3賞の受賞者を輩出しており、今年も5日からの発表を楽しみにしていました。シャント造設の手術が終って病棟へ上がった際、北里大学の大村智先生の受賞の報道を聞き、非常に嬉しく思いました。毎年ノーベル賞発表前に有力候補者の予想が発表されますが、大野智先生が候補者として名前が挙がることもなかったため、多くの方が驚いたのではないでしょうか。小生は今年は、コレステロール低下薬であるスタチンを発見した遠藤章博士や細胞接着因子であるカドヘリンを発見した竹市雅俊博士あたりが受賞するのではないかと思っていましたので、正直驚きました。2002年島津製作所の田中耕一博士が「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」で化学賞を受賞した際も、田中博士は全くのダークホースだったため、多くの方が驚いたことは比較的記憶に新しい?ことと思います。この時は田中耕一博士の人柄も話題となりました。今回の大村智先生については、たまたま書店で中央公論新社より出版されている「大村智:2億人を病魔かえら守った科学者」という本を2年ほど前に購入し、読んでいたこともあったため、ある程度知識は有していましたが、まさかノーベル医学・生理医学賞受賞となるとは思っていませんでした。本の帯封には「夜間高校の教師から研究者に転じ、世界に先駆け国際産学機構を主導して発見した抗生物質は、オンコセルカ症 (河川盲目症) やリンパ系フィラリア症など重篤な2つの熱帯病を撲滅寸前まで追いやっている。科学と芸術の創造共通性を追い求めた化学者の実録評伝であり非常に感動して読んだ」と東京理科大学学長の藤嶋昭先生 (酸化チタン用いた水の光分解の研究でノーベル賞候補) の言葉が記されています。異色の経歴と、たたきあげの学者、さらには、東大や京大出身といった、いわゆる典型的な学者とは趣を異にするので、大きな話題となることでしょう。そういえば昨年DNAの二重らせん構造を発見したジェームズ・ワトソンのノーベル賞メダルが5億7千万円で落札されたことがニュースになりましたが、1901年以降、110年余の歴史を持つノーベル賞。そこには悲喜交々、多くの人間ドラマを見ることができます。先の、DNAの研究レースの勝者ジェームズ・ワトソン、フランシス・クリックとDNA構造の決定打となるX線回折のデータを盗まれた?ロザリンド・フランクリンとの確執や、インスリンを発見したフレデリック・バンティングとジョン・ジェームス・R・マクラウドとの争い、などなど。多額の賞金もさることながら、学者として世界最高の栄誉が与えられることから、そこには数多の栄光と挫折、光と影を見ることができます。今後ノーベル賞に纒わるさまざまな物語を紹介できればと思います。自然科学系分野でのノーベル賞受賞、大野智 (嵐か?) じゃなかった大村智先生本当におめでとうございます。今日の物理学賞、明日の化学賞がとても楽しみです。日本人でよかった。日本万歳!!