握りのプロ 埼玉を征く

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この夏は、母の兄 英雄伯父さんの新盆で、また、父と妹の墓参りするため埼玉県長瀞町の真言宗智山派洞昌院という母の実家の寺に行ってきました。因みに、真言宗智山派の総本山は京都にある長谷川等伯一門の障壁画で有名な智積院です。亡くなった小生の祖父の兄は総本山でも絶大な影響力を持っていたそうです。洞昌院は関東三十六不動霊場の一つで、また、長瀞秋の七草寺の一つとなっています。秋の七草とは尾花、撫子、桔梗、藤袴、葛、女郎花、萩の7種で、以下のごとく万葉集には山上憶良の歌が残されています。

秋の野に 咲きたる花を指折り(およびをり)かき数ふれば七種(ななくさ)の花 (山上憶良 万葉集 巻八 一五三七)

意味:秋の野に咲いている花を指折り数えてみれば、七種類の花があります。

萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)の花」(山上憶良 万葉集 巻八 一五三八)

なお、洞昌院は萩寺になります。ちょうど今頃から萩の花が見頃となります。千株以上の萩が咲き乱れ、七草寺の中でも群を抜く美しさです。シーズンには観光バスがたくさんやってきて、朱印や御札、お守りなどが結構売れるようです。また、賽銭箱にもかなりのお賽銭が入っているようで、萩寺になる前とでは、様相がまるで違います。小生が小学校の時は参拝客は皆無で、たまに地元の檀家の人が小銭を小さい賽銭箱に入れてゆく程度でした、同い年の叔父忠臣君と従兄弟の智子や由美子そしてうちの4兄弟:美穂子、秀文、浩之の悪ガキ7人で、小さい賽銭箱に賽銭が入っているときは、その賽銭箱をゴロゴロと3回転転がして(270度回転させるとお金が出てくるんです)、出てきた50-100円握りしめて、みんなで1 km程離れた国道140号線沿いのタバコ屋さんでお菓子を買いに行ったのは遠い昔(もちろん住職:智子・由美子の父親で先の亡くなった英雄伯父さんの許可はもらってますよ)。今だと賽銭泥棒=窃盗罪になっちゃうね。

時は経ち、大学生の時は洞昌院をベースにして愛車のNS400Rで間瀬峠を、よく攻めに行ったものです。1日100-200本位攻めていたでしょうか。時に1日2回も給油したこともあるんだよ。この間瀬峠はしげの秀一の漫画「頭文字D」で主人公の藤原拓海が駆るAE86とスズキのEA11Rカプチーノがバトルをする埼玉第三ステージのコースです。本編における埼玉ステージのバトルの舞台は正丸峠、定峰峠、土坂峠と、どれも車やバイクでよく攻めに行った馴染みのある峠ですが、こと間瀬峠は小生のホームグランドだったゆえに、身近な間瀬峠が超人気漫画の舞台になっていることはとても嬉しかったですね。今回も久しぶりに間瀬峠に夜行ってみました。いるわいるわ、AE86 カローラレビン・スプリンタートレノやFC3S RX7、FD3S RX7 S14シルビアなどが集結していて、けたたましいマフラー音とドリフトのスキール音が静寂な夜の峠に響き渡っていました。もう、ほとんど頭文字Dの世界ですね。

さて、翌日は秩父方面の渓流へと向かいました。高校生の時よくキャンプをした橋立川や渓流釣りのメッカである奥秩父には岩魚や山女魚、アマゴが捕れるのですが、以前と比較すると天然モノは著しく減少してしまったようです。それでも小生は水中メガネとヤスを引き下げ奥秩父へと繰り出したのです。最近はヤスを持っていると注意されたり、時としては警察沙汰となる場合もあるので、握り中心で攻めてみました。前述の渓流魚は昼間は岩の影で、じっとしているため、それらしい岩の下の隙間にそーっと手を入れて岩魚や山女魚、アマゴを握るのです。鱗がないため、ものすごく滑るのでなかなか握って捕るのは難しいのですが、ここは握り漁40年近いプロ??。今回、尺物は取り逃がしたものの、最長27cmのアマゴを筆頭に6匹と、ボウズはなんとか回避しました。数も大きさも正直やや不満を残す釣果ならず収穫と相成りましたが、こんなものかもしれませんね、秩父周辺の渓流では。滝川や入川など荒川源流部の所謂本丸を攻めたいところですが、ここは釣り人も多く、また、本格的な沢登りの準備が必要なため、こちらは断念し、今の体力に見合った、攻めではなく守りの握り漁に成り下がってしまいました。残念!!!

このあとは秩父市内の40年も愛用している松本製パンでジャムバターやカスタードクリームを塗ってもらったコッペパンを15本購入。数本のコッペパンをほうばった後は、お約束の38年前から通っている珈琲道じろばたで珈琲を頂く。これも小生の人生の楽園の定理のようなものです。店を出ると、遠く石灰岩の掘削によって無残な姿となった秩父の象徴、武甲山を眺めながら、変わりゆく秩父の自然と情景に思いを馳せ、秩父の街を後にしました。武甲山は何年後に無くなってしまうのだろうか?国の天然記念物であるチチブイワカガミなど石灰岩特有の特産種は後世までずっと守ってゆきたいものです。「文部科学省よ!!何とかしろー!!!」と負け犬ならず小生の遠吠えが今も虚しく響いています。rimg0052

写真は順番に、母の実家 長瀞秋の七草寺洞昌院です。ガキの頃からここで遊んでいました。1985年8月 間瀬峠のギャラリーコーナーを攻める小生とNS400R。変わりゆく現在の武甲山、山肌が石灰岩採掘のため禿山と化してしまいました。国の天然記念物、武甲山特産種チチブイワザクラ、堰堤下の淵で握り漁をする小生。今回の収穫 アマゴ5匹、岩魚1匹 40年通い続けている秩父市内の松本製パン、秩父では超有名な店です。母や叔母が高校生の時から食べています。ちなみに写真は大学入学直前1985年3月頃です。古びたペコちゃんの真似をして横に佇んでいるのは小生です。

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