4月24日より3日間大阪国際会議場をメインとした計5箇所の会場で第79回日本循環器学会総会が開催されました。来場者数も非常に多く、群衆?大衆?人混みを見ることがない下田に在住している小生にとっては圧倒されるばかりです。思えば2000年、この会場で第48回日本心臓病学会総会が開催され、わが国立循環器病センター(NCVC)北村惣一郎総長が会長に就任したため、学会スタッフとして右往左往しながら会場を走り回っていたことが懐かしく思われます。当時はNCVCの心臓血管外科スタッフでしたので、病院の残り当番を1日行った以外はリーガロイヤルホテルで寝泊まりしていました。まかない食?がホテルの食事だったので豪華の料理に舌鼓みを打ち、こんなスタッフなら毎日やりたい?なんて思うぐらい充実した?学会スタッフであったことを思い出します。確かこの頃より、学会のスライドがPCに変わり、エコーや血管造影の動画がPCより会場の画面に映し出されるプレゼンテーションを見て驚愕したことが思い出されます。その頃まではスライドは10枚まで。作成したスライドを何度修正してもビーコンで、やっとOKをもらえるのが学会への出発がギリギリだったりすると(NCVCでは学会発表の演者は全員予演会でプレゼンを行います。演者のスライドをスタッフ全員でチェックし、半端でないほどのダメ出しを食らいますので、一発通しはまず皆無。最低2-3回、多いと4-5回作り直させられます。小生もたまに集中砲火を浴びせられました)、データを速攻でスライド屋さんまで持って行かなければならなかったんですよ。時間との闘いなのでハラハラ・ドキドキなんていうこともしばしばでした。なんせ、締切際の魔術師と呼ばれていた??ので。今では、スライドは発表直前まで修正できますもんね。近年ではすっかりあたりまえの光景となってしまいました。また、その頃は学会演題の抄録もプリントアウトして切り貼りして郵送していた時代でしたから、昨今のインターネットによる演題応募が常識となり、時代の趨勢に追いつけていない自分がいることを再認識させられます。さて、盛況だった循環器学会総会は非常にみのりのある学会でした。ポスターもプレゼンも英語が主となっており、国際化を意識している学会です。本学会が刊行するCirculation Journalも英文誌で、インパクトファクター(IF)が3.685もあり、心臓血管外科領域で最もIFが高いJournal of Thoracic and Cardiovascular Surgery (JTCS)が3.991であることを考えると奇跡的です。今後のさらなる躍進に期待します。本学術総会における、さまざまな臨床医学の領域は非常に広範で、かつ多岐にわたり、しかも深い内容となっております。心房細動とNOACにかかわる演題は多いですね。しかも臨床領域にとどまらず、分子生物学や再生医学など基礎医学領域にも及んでおり、本学会は循環器領域の治療、特にガイドライン作成などにおいて中心的役割を担っています。24日午後は胸部大動脈瘤におけるステントグラフト(TEVAR)と外科手術のセッションに参加しました。座長は元上司(第5代血管外科チーム責任者)で現在東京医科大学心臓血管外科学主任教授の荻野 均先生でした。小生は荻野先生から手術の手ほどきを受けており、心臓外科医の姿勢を叩き込んでくださった恩ある先輩の一人です。いつもの冴え渡る明快なコメントと進行は衰えるどころか、ますます磨きがかかっています。演題は計5題。最後はNCVCの心臓血管外科部長(現血管外科責任者)の湊谷謙司先生でした。ちなみにNCVC歴代血管外科責任者は1代:中島先生:千葉大学教授、2代:高本慎一先生:東京大学教授、3代:大北 裕先生:神戸大学教授、4代:安藤太三先生:藤田保健衛生大学教授、5代:荻野 均先生と全員大学教授に就任しており、名誉ある地位です。湊谷先生は小生の兄貴分であり、現大森日赤病院心臓血管外科部長の田鎖 治先生と共に小生のよき相談相手です。15年ほど前に大北先生とともに南伊豆に海水浴に来たことが懐かしい。話を戻します。NCVCにおける大動脈疾患の手術件数の多さと安定した成績は驚異的です。討論の時間では喧々囂々じゃなかった!、侃々諤々あるいは丁々発止とまではいきませんが、さまざまな意見やコメントが寄せられ非常に内容の濃いセッションでした。終了後、荻野先生、湊谷先生と30分くらい雑談する時間を持つことができ、NCVCの人脈はあらためてすごいなーと感心するばかりでした。そのあとはポスターセッション、企業ブース、医学書コーナーを回り、夕刻にはNCVC同期の日野君が開業したバスキュラーアクセス専門のクリニックへ見学に向かいました。
上の写真は左から湊谷先生・荻野先生そして小生です。真ん中、下は企業ブースです。次回に続く。